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■粘土を触媒とする流動接触分解ガス化

 これまで開発されてきた熱化学的変換技術には、空気や酸素を吹き込んでバイオマスの一部を燃焼させながら固定床でガス化する技術、ガス化炉と燃焼炉の間で砂を流動状態で循環させながらガス化する技術、触媒*を使って低温でガス化する技術などさまざまなものがあります。しかし、バイオマスを部分的に燃焼させる装置は高温にしないとタール*が発生し、高温にするためにはそれだけ多くのバイオマスを燃焼させなければならない、触媒を使えば低温化できますが、今度は触媒が劣化しやすく交換費用がかさむなど、さまざまな問題がありました。

 それらの問題を解決するために、APEXでは粘土粒子を触媒/流動*媒体とするバイオマスの流動接触分解ガス化法を考案し、東京農工大学、ディアン・デサ財団、BPPT(インドネシア技術応用評価庁)と協力して技術開発をすすめてきました。細かい粒子の層にガスを吹き込むと、粒子は固体であるにもかかわらず、まるで液体のように流動します。APEXが開発した技術は、この流動現象を利用して触媒/吸着作用をもつ粘土粒子をガス化炉と再生塔の間で循環させながら、バイオマスを効率的にガス化するものです。

流動接触分解ガス化炉構成図

 バイオマスをガス化炉に投入して水蒸気を吹き込むと、バイオマスは分解して大半がガスとして収穫され、残りが炭素分となって粘土粒子の表面に沈着します。炭素分が沈着して活性を失った粘土粒子は再生塔に運ばれます。再生塔に運ばれた粘土粒子上の炭素分は空気により燃焼除去されて、粘土粒子は活性を取り戻します。再生されて燃焼熱*によって加熱された粒子はガス化炉へと循環し、再びバイオマスのガス化反応を触媒します。

流動接触分解ガス化原理図

 このシステムでは、副産物として植物灰と廃触媒(粘土)の混合物ができますが、これを土壌に還元することにより、原料となる植物の持続的な生産がはかれます。

■APEXの技術の特徴

  • 650℃〜750℃の低温で、タールの生成をともなわずにバイオマスのガス化ができます。(図2)
  • 水素と一酸化炭素を主成分とする高カロリーのガスが得られます。生成したガスは、そのままディーゼルエンジンやガスエンジンに供して発電することができますが、燃料電池による発電や、メタノールなどの液体燃料合成にも利用できます。
  • 先進国で開発されてきた従来の技術と比べて、格段に安価です。(設置費用は10分の1以下と推定されます)
  • 副生する植物灰と廃触媒(粘土)の混合物は土壌に還元しやすく、それによりバイオマスの持続的生産がはかれます。
  • 50キロワット〜100キロワット程度の小規模装置にも、また数千キロワット以上の中・大規模装置にも適用が可能です。
  • 粉砕などの前処理なしで、大きなサイズのバイオマスが処理できます。
触媒によるタール生成の抑制
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触媒
 化学反応の前後でそれ自身は変化しないが、反応の速度を変化させる物質。一般に、原料が同じでも、反応には幾つもの経路と生成物がある場合が多く、ある触媒を用いることで特定の生成物の収量を多くしたり、少なくしたりすることも出来る。
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タール
 石炭・木炭・バイオマスなどの有機物の分解等によって生じる黒色または褐色の粘稠性(ねばりけがあって濃い)の油状物質。装置・機器内面へ付着すると簡単には除去しづらく、またエンジンなどに送り込んだ時にトラブルを誘発する可能性があるので、生成しないことが望ましい。
流動層プロセス
粉体に一定以上の流速でガスを吹き込むと、粉体は固体であるにかかわらず、あたかも液体であるかのように流動する。この現象を利用した化学プロセス。
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燃焼熱
 物質が燃焼する際に発生する熱。
燃料電池
 燃料の酸化還元反応によって生じる化学エネルギーを、直接電気エネルギーに変える電池。正極に酸素または空気、負極に水素ガスを用いるものなどがある。発電効率が高い、さまざまな燃料を使用できる、環境を汚染することがないなどの特徴がある。
メタノール
 メチルアルコールの別名で、無色透明の可燃性液体。一酸化炭素と水素から合成することができる。燃料、溶剤、有機合成原料として広く用いられており、燃料電池やメタノール自動車の燃料にもなる。