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特定非営利活動法人APEX
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ジャトロファ事業の開始

ナンヨウアブラギリの複合的利用による環境保全型地域開発

 APEXでは、外務省の日本NGO連携無償協力対象事業として、2008年9月から3年間の予定で「インドネシアにおけるナンヨウアブラギリの複合的利用による環境保全型地域開発」という事業を行います。この事業は、荒地でも生育し、種子から軽油代替燃料が採取できるナンヨウアブラギリという植物を多面的・複合的に利用しながら、環境保全、再生可能エネルギー供給、水不足の緩和、住民の生活・収入の向上等が相乗的に達成できるような地域開発のモデルを形成しようとするものです。事業の対象地域は、東ヌサトゥンガラ州のフローレス島内の村です。

事業地(フローレス島)の場所(インドネシア全図)

ナンヨウアブラギリとは

ナンヨウアブラギリの果実 ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas、ジャトロファまたはヤトロファとも呼ぶ)はトウダイグサ科の多年生小喬木〜潅木(高さ3〜5メートル)で、その種子から軽油代替燃料となる油脂が採れる植物です。油脂には毒性があり、食用には適しません。乾燥に耐え、害虫に対する耐性もあって、農地には適さないような乾燥地・荒地でも生育します。

 アブラヤシからの油脂も同様に燃料になりますが、アブラヤシは肥沃な土地を使いますので食糧と競合し、また森林を切り開いてプランテーションにする場合が多いのに対して、ナンヨウアブラギリは、未利用の荒地を緑化しながら油を生産できるところが異なります。

 インドネシアでは、バイオ燃料向けの作物のひとつとしてナンヨウアブラギリの栽培を奨励する大統領令(2006年大統領令第5号)が出されるなど、最近はバイオディーゼル燃料(*)の原料として注目されています。

事業の背景

 現在、インドネシアは、貧困、森林破壊、水不足、エネルギー不足等、数多くの問題に直面しています。
 総人口の17.6%(3910万人)が貧困ライン以下で生活するインドネシアの中でも、東ヌサトゥンガラ州は最も貧困な州のひとつです。住民の多くは農業や漁業に従事していますが、その収入は低く、今回の事業の対象地域では一ヶ月当たりの世帯収入は25万〜50万ルピア(3,000〜6,000円)程度です。
 また、インドネシアでは森林破壊が急速に進んでいますが、森林伐採跡地等は荒地化する場合も多く、同国の森林省は、今後植林〜緑化すべき荒地・乾燥地の面積を4,630万ヘクタールとしています。東ヌサトゥンガラ州は、乾燥した気候のため、未利用の荒地が多く存在しています。
 水不足の問題も深刻で、安全な水にアクセスすることが出来ない人の割合が、都市部で18%、農村部では36%に達するといわれています。今回の事業対象地域も年間降水量が1000〜1500mmと比較的乾燥した気候のため、水が不足しています。
 また、東ヌサトゥンガラ州は電力網の普及率も同国で最も低いレベルにあり、照明用電源を電力公社以外に頼る家庭が67%もあります。

 そこでAPEXでは、事業対象地に自生するナンヨウアブラギリを複合的に利用することで、環境を保全しながら燃料や電力、水を生み出し、住民の収入や生活を向上させる事業を開始することにしました。

事業の内容

1.ナンヨウアブラギリの植林による荒地の緑化

植林地によく見られるサバンナ状の荒地 まず、対象村の300世帯の住民の参加を得て、ナンヨウアブラギリの苗づくりと、得られた苗による植林を行い、荒地を緑化します。初年度は点在する80ヘクタールの土地に、20万本のナンヨウアブラギリの木を植林します。2年度目には、さらに緑化地域を120ヘクタール増やし、初年度の分とあわせて200ヘクタール(50万本)とします。
 また、右の写真は事業地によく見られる荒地ですが、このように荒地といっても木が点在しています。そのような木はそのまま残し、また、植林対象地を点在させること、他の樹木等を組み合わせて植えることを奨励することなどにより、生物多様性の維持にも配慮します。


2.軽油代替燃料の生産

 住民が収穫したナンヨウアブラギリの種子を買い取り、種子から油を搾り取ります。搾り取った油は精製して、そのまま燃料として、あるいはバイオディーゼルの原料として利用する予定です。対象地域では発電をディーゼル発電に頼っており、その燃料としての利用も考えられます。植林地域を200ヘクタールとすると、年間250〜500トン(収量は実績を見ながら見直していきます)の軽油代替燃料が生産できます。

3.ジャトロファ廃棄物のガス化発電

 上記の、ナンヨウアブラギリの栽培から油脂の搾油・精製までのプロセスでは、剪定枝、果実の殻、種子の殻等さまざまなバイオマスの廃棄物が発生します。APEXでは以前からバイオマスの熱化学的ガス化技術の開発に取り組んできた経験を生かして、それらの廃棄物をガス化し、得られたガスをエンジンに直接投入して発電することを試みます。なお、一部の廃棄物からはコンポストも生産する予定です。ガス化するバイオマスや装置の種類により、60〜140kWの電力を発生することができます。

4.海水の淡水化

 バイオマス廃棄物のガス化発電装置は、大量の廃熱を放出します。それを無為に捨てるのはもったいないので、その廃熱を利用した海水の淡水化にも取り組みます。それによって得られた水は、水不足の地域の生活用水等として利用してもらう予定です。

5.ニュースレターの発行、セミナーの開催

 この事業でつくり出された環境保全型の地域開発モデルを紹介し、広く普及させていくために、ニュースレターを発行したり(年2回)、セミナー・ワークショップを開催する(第3年次に2回)ことも計画しています。

事業全体のスキームは以下の図をご参照ください。

ジャトロファ事業全体スキーム

また、事業全体(3年間)のスケジュールは以下のとおりです。

1年目 2年目 3年目
荒地の緑化 80ha 200ha(120ha追加) 200ha(維持)
軽油代替燃料の生成 調査・小規模プラント 本装置稼動 運転・改良
ガス化による発電 調査・実験 装置設計・建設・稼動 運転・改良
海水の淡水化 調査・小規模実験 装置設置・稼動
セミナー・ワークショップ、ニュースレター ニュースレター(2号) ニュースレター(2号) セミナー・ワークショップ(2回)、ニュースレター(2号)

事業の進捗について

 この事業の進捗については、当ウェブサイトのほか、スタッフ日記、担当スタッフのブログにて随時お伝えしてまいります。是非ご覧ください。

また、以下に第一年次(2008年9月23日〜2009年9月22日)の事業完了報告書を掲載しましたので、ご関心のある方は是非一度ご覧ください。

第一年次事業完了報告書(PDF, 962kb)

募金にご協力ください

 この事業を実施するための資金としまして、外務省の日本NGO連携無償資金協力の供与を得ていますが、一部の資金は自ら調達する必要があります。荒地の緑化をしながら、燃料や電力、水などの生活に必要なものを生み出す、環境保全型の地域開発事業にご理解いただき、ぜひご協力いただければ幸いです。

通常の事業賛助金について

また、一口5000円の募金をいただくと、100平方メートルの植栽地が割り当てられ、好きな名前をつけた札を立てられる新しい募金「ジャトロファ・グリーンプラス募金」を開始しました。この募金では植栽地に札が立てられる他、代表的な木1本にも名札が取り付けられ、また植え付け終了時と結実時の計2回苗木の写真入りレポートがお手元に届きます。よろしければ、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

ジャトロファ・グリーンプラス募金



バイオディーゼル燃料
 生物由来油(植物油や動物の脂、廃食用油など)からエステル交換という工程を経て作られるディーゼルエンジン用燃料の総称。

協力先NGO

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